ここで麦江田が誘導する電気自動車がこの物語にとんでもない結末をもたらすことになる。

だがいまはまだ誰もそのことを知らない。

麦江田は、この日より電気自動車の展示が行われることは聞いていたが、具体的な展示形態については決定しておらず、展示の責任者であるモールの広報部・黒磯針雄からこの場で指示を受け、電気自動車を第2展示スペースへと誘導していった。

後に麦江田は、この自動車の搬入時に運転手の素性をしっかり確かめていれば、あのような大事故は起こらなかったのではないか……と、ひとり煩悶を繰り返すこととなる。