警備室からこの無線を受けた麦江田の緊張は一気に高まった。

警備室からの無線によれば、玩具店からの報告を受けて警備室で監視カメラを確認したところ、残念なことにカメラには窃盗の瞬間は映っていなかったとのことであった。

しかしタイヨウくんが店でフィギュアを手に悩んでいる姿は映し出されており、これと事態の発生したタイミングから判断すれば、タイヨウくんがその容疑者に数えられることは疑いようがない。

麦江田は、仕方がなかったこととは云え持ち場を離れたことを悔やんだ。彼のような警備員にとって、万引きを未然に防げなかったことは万死に値するような失態と云うべき事態であった。