この無線を受けた麦江田の落胆と自分への怒りは如何ばかりであったか。

自分があのとき目を離してさえいなければ、フィギュアを持ったまま店をうっかり出てしまった小供に声をかけて気付かせることができたのである。

自分があのとき備品倉庫の鍵を戻すのを忘れていなければ、自分は持ち場を離れることもなかったのだ……麦江田はそうして自分を責め続けた。

斯くなる上は何としても小供を見つけなくてはならない。小供がモールの中にいる間に見つけて呼び止めなければならない。

麦江田はA班の面々に無線越しにそう云って発破をかけた。