このような小さい小供がなお小さな幼児を誘拐するものだろうか……麦江田はそんな疑念を払拭できないままタイヨウくんと頬野あやちゃんの動向を窺っていた。

いまはステージでショーが展開している最中でもあり、不用意に動いてショーをぶち壊しにするわけにはいかない。

麦江田は、警備員たちに対して改めて慎重な行動をするように指示を飛ばした。ショーの恙ない進行やモールの評判以上に、我々が気を配らなければならないのはあの小供のことだ。

不用意に動いて小供の心に傷を負わせてしまってはならないと、麦江田は一層気を引き締めた。