麦江田はひとまず安堵した。

電気自動車のいなくなった展示スペースで、電気自動車の走り去った先を見つめたまま、ポカンとしている小供達に駆け寄る。

その瞬間、反射的に尚も逃げようとしたタイヨウくんの腕を掴み「大丈夫だから」とその目を見つめて優しく云うと、タイヨウくんはにっこり笑って逃げるのをやめた。

そこへ頬野あやちゃんの母親が現れた。母親は不安と憤怒が入り交じった、およそ人間のものとは思えないような表情を浮かべていた。

そうしてタイヨウくんの傍らにいたあやちゃんを捕まえると、引ったくるように引き寄せた。