実は麦江田はタイヨウくんを解放後、密かにA班の一人にその後をつけさせていた。

もしもタイヨウくんが麦江田の云い付けを守らず、あるいは忘れてしまい、フィギュアを店に返却することなく帰ろうとした場合にはすぐさま自分に連絡を入れるように指示を与えていた。

だがこうしてその心配は杞憂に終わり、麦江田は心底からほっと胸をなで下ろした。

その数分後、モールから出て行く来客者の列の中に、タイヨウくんの姿を認めた麦江田は心の中で「またおいで」と声をかけた。

タイヨウくんは麦江田の視線には気付くことなくモールから去っていった。