この時、インフォメーションブースで菱川ほみ乃はぼんやりとしていた。
くれぐれもウロウロしないようにと念を押したにも関わらず、迷子の女の子の母親である頬野耳子はどこかに行ってしまった。
一応その旨を警備の主任には連絡しておいたが、自分の本来業務とは異なる案件だからと、迷子のことを考えるのをやめた。
耳子なり迷子の女の子本人が再びあらわれたら対応すればいい、そんなふうに割り切って本来業務にあたっている。
そういうわけでいま、菱川ほみ乃は迷子に対する意識を切ってしまっているからタイヨウくんたちには気付いていない。