前章で見た通りこの時、マイモーちゃんの中の人は羅沢村絵である。

真実を云いだせないままにステージに上げられ、見たことも聞いたこともない曲を聴かされさあ踊れと云われているのである。

ステージの袖でこの光景を歯がゆい思いで見つめているのはスーツ姿の黒磯針雄だ。マイモーちゃんの中の人が頼んであったバイトの人間だと思い込んでいる黒磯は「この野郎あれだけ練習したマイモーちゃん体操をすっかり忘れやがって。このステージが終わったら叱りつけてやる」と思いながらステージ上のゆるキャラショーの進行を見ていた。