『何事も本気でぶつかれ』

わたしが子供のころ、こう教えてくれた人がいた。

だからわたしは何事にも本気でぶつかる。

それは飼い犬のポコと遊ぶときだって変わらない。

ポコはわたしにとって二匹目の飼い犬。

一年前に我が家へやって来た。

前の犬と同じくらいに賢くて愛くるしい。

今日は近所の広場で遊ぼう!

ようやく一歳を迎えたばかりで、

まだまだやんちゃ盛りのポコ。

遊ぼ、遊ぼ、とわたしにちょっかいを出してくる。

でも、ここで甘い顔を見せちゃいけない。

ちゃんとした犬に躾けるために、

わたしは本気でポコを巴投げに切って取る。

めげないポコ。

それどころか、巴投げが遊びの開始を告げるものだと思ったみたい。

少し離れてから助走をつけて、

わたしに飛びかかってきた。

 

そのポコの勢いを利用して、

フロントスープレックスで投げ飛ばす。

風車の理論を実践。

どしん、と頭から真っ逆さまにたたきつけられたポコ。

ごめんねポコ。でも、これが本気で付き合うってことなんだよ。

まったく元気なポコ。

あれだけ強烈にたたきつけられたのに、

まだわたしに向かって飛びかかってくる。

でも、それはポコの"本気”

嬉しくなったわたしは、それに応えるように、

カウンターのドロップキックをヒットさせた。

ぎゅう、ってうめき声をあげて、またもや地面にたたきつけられたポコ。

本気でポコと付き合っているわたしは、

まだまだ終わりになんてしない。

仰向けにひっくり返ったポコのマウントを素早く取ると、

力任せに顔面を殴打する。

何度も。何度も。そう、これ以上ない本気で。

ポコの歯が折れたって止めはしない。

なんとかマウント状態から逃れようとスイープを狙ったポコ。

でも失敗。俯せになったポコの首を取ると、

そのまま仰向けにひっくり返して胴締めスリーパーに移行。

流れるようなグラウンドテクニック。

そのまま本気で首を締め上げると、やがてポコはぐったりとなった。

おちた。

こうしてわたしとポコの本気の遊びは終わりを告げる。

しばらくして息を吹き返したポコを連れて家路につく。

また、本気で遊ぼうね! ポコ!

本気で遊ぶと楽しいね!